2012-10-27 中上健次『地の果て至上の時』 読書 地の果て 至上の時 (講談社文芸文庫)作者: 中上健次出版社/メーカー: 講談社発売日: 2012/08/11メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 2回この商品を含むブログ (4件) を見る なにも持たずに生まれ、むごいほどに奪い続け、かなしいほどに失い続けて、それでもまだ、魂は安らがない。何も持たずにはいられない。何もかもが変容してしまった故郷で、土と血だけがこびりつく。 べっとりと、宿命のように。 最後には失うしかない。行きつ戻りつ、決まりきった結末を迎えることさえできないのならば、誰かが死ぬしかない。そうするほかに、何もかもを脱ぎ捨てることはできない。 終わりはいつだってそうなる。血が流れ、土地は焼ける。