2012-10-07 柴崎友香『わたしがいなかった街で』 読書 わたしがいなかった街で作者: 柴崎友香出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2012/06メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (25件) を見る すべては連続する流れのなかにある。因果をたどれば果てはなく、そこにあるという状態に満足できなれければ、永遠と無限の網にとらわれ続けるほかなくなる。そうなってしまえば、すべては逆転する。ひっくりかえる。「いま、ここ」こそが実であるはずなのに、限りなくそれが希薄になっていく。 時間のなかで、自分が希釈されていく。 もしもの世界に生きることはできない。それは連綿と続く時の流れである。わたしが不在である世界がぽっかりと口をあけている。わたしを忘却すればすべての地ならしは終わり、そこに焦土が開ける。求めてはならない。意味を。 ただ、時の流れだ。それは何者でもない。