綿矢りさ『ひらいて』

ひらいて

ひらいて

 繊細な言葉の積み重ねであればあるほど、細かく折られた布の偏執的な装いに似た迫力が宿る。圧倒的な想像力と圧倒的な牽引力。これは恋愛ではないし、ましてセックスでもない。それはひとであり、それは戦いだ。青春だとか若さなんて言葉で片づけられていいものでは決してない。
 新しいステージに、足跡はすでに刻まれた。