壁井ユカコ『代々木Love&Hateパーク』

代々木Love&Hateパーク

代々木Love&Hateパーク

 群像劇に必要な接着力がなく、それぞれのエピソードが独立してほどけていく。芯を貫く物語がない以上、散らばったドラマたちが再びひとつのかたちをなすことはない。
 個々の姿に強靭な背骨をもたない断片たちでは自重には決して耐えきれない。
 それでは物語は失われていく一方だ。惨めなひとの、惨めではない結末に、カタルシスは宿らない。