鹿島田真希『冥途めぐり』

冥土めぐり

冥土めぐり

 美しくあるとはどういうことか。おそらくは無限の意味と価値にとらわれ続けるだろう世界のなかで、無為こそが美であるという結論は、多くの場合に批判され、ときおり支持される。たどり着けない場所は前ではなく後ろにある。得ることはできても失うことができない。
 生きていく以上、衣服は増えていくものだ。魂は肥満し続けるだろう。それをそぎ落とす行為は、死をめぐることにしかならない。