伊坂幸太郎『PK』

PK

PK

 繋がっているという状態には、圧迫されるような恐怖と、理解されているという不思議な安心感が同居する。ひとの世はそうして包まれ、支配されている。個人の意思はその大きなシステムのなかで屹立するしかなく、同時にそうあることでしか意味がない。
 登場人物たちは誰ひとりとしてその大きさを理解しない。視野からはみ出してはじめて全体をなす巨像に、彼らは気付けない。気付けないうちに呼吸し、行動し、なにごとかを創造し、生きていく。
 皮肉はユーモアであり得るか。語り口ほど、物語はいつも、優しいものではない。