中村航『トリガール!』

トリガール!

トリガール!

 爽やかであることに自覚的な姿は、すこし品がなく、決定的にいかがわしい。その、いわく言い難いぬるさの中に宿る楽しさはたしかにある。あまりにも整備された箱庭で、あまりにも造られた人物たちが、あまりにも用意されすぎた筋書きを演じきる。
 批判の言葉は数限りない。そのうえたしかに高尚ではないが、ただ本来、娯楽とはそういうもので良いのではないか。それに気付かぬふりができるのであれば、それで終わりで良いのではないか。