山崎ナオコーラ『ニキの屈辱』

ニキの屈辱

ニキの屈辱

 鈍感であることは罪ではなく特技であり、繊細であることははっきりと罰だ。それは咎のない罰に見える一方で、実際には決してそうではない。罪に対する罰。そのように生きていることそのもの、とにかくそれではひとの世は生きにくいもので、ひとの世にとってなじまないものはありがたいものではない。
 諦念でしかない。痛烈な皮肉が、対象には決して届かないように構成されているところが、とてもつらい。