三上延『ビブリア古書店堂の事件手帳2』

 丁寧につくられた本には、愛嬌が宿る。読み筋ははっきりしていて、我々が思い描く作中におけるリアリティをまったく逸脱しない。読書を日常の、スパイスではなくささやかな楽しみであるとするのであれば、これほど好感度の高い本はなかなかない。
 登場人物達はそうではないところが、すこし皮肉ではある。