伊藤計劃×円城塔『屍者の帝国』

屍者の帝国

屍者の帝国

 馬鹿にされているような、騙されているような、それでもたしかな質量をもって存在しているように見えてしまう世界。接続は容易ではないが、あまりにも鮮やかな手際でそれはなされてしまう。与えられた遺産は小粒でありながら劇薬でありすぎる。
 楽しく読んだ。力や役者が不足しているとは最後まで思わなかった。それでも、オリジナルを夢想する悲しみをいやしてくれるものではない。