阿部和重『クエーサーと13番目の柱』

クエーサーと13番目の柱

クエーサーと13番目の柱

 情報は意味を固定しない。そこにある情報に価値を与えるのは、そのまわりを取りかこむ物語たちだ。物語を作り上げることはすなわち想像することだ。材料をふんだんに与えられ、狂気と妄想の支配は濃度を高めていく。
 あふれ出す情報とはつまり、自分勝手な物語を作り上げる材料が、無限に手に入り続ける状況に他ならない。